自賠責保険の支払保険金が減額される場合とその金額

公開日:2015年10月11日

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自賠責保険の補償範囲や支払われる保険金の額について別の記事で紹介しました。

しかし上記のようなケースでも、自賠責保険には全額保険金が支払われないケースがあります。これを自賠責保険の減額といいます。

どのような場合に減額となるのか、またどれくらい減額がされるのか、本記事で紹介したいと思います。

自賠責保険が減額される場合

自賠責保険が減額される場合は以下の通りです。

  • 被害者に重大な過失がある場合
  • 事故が原因で死亡または後遺障害となったか判断が難しい場合

まず、自賠責保険は被害者に重大な過失があった場合は補償がされません。

重大な過失がある場合はその過失の大きさに応じて保険金の減額がされます。

被害者に100%の過失がある場合に至っては自賠責保険は保険金がまったく支払われません。

ちなみに減額とは本来の支払保険金からの減額ですので、損害額が支払限度額を超える場合は支払限度額から減額がされます。

つまり被害者が死亡して1億円の損害があった場合、被害者に重過失があって2割減額となる場合は、1億円から2割減とするのではなく、自賠責保険の保険金は上限いっぱいの3,000万円から2割減額がされ2,400万円の支払となります。

また被害者が死亡、後遺障害となった場合でも、事故によるけがが原因で死亡、後遺障害となったか判断が難しいとされた場合は減額がされます。


自賠責保険が減額される金額

自賠責保険の減額される金額は以下の通りです。

■被害者に重大な過失がある場合の減額金額

過失割合 けがの場合 死亡・後遺障害の場合
70%未満 減額なし 減額なし
70%以上80%未満 20%減額 20%減額
80%以上90%未満 30%減額
90%以上100%未満 50%減額

また事故が原因で死亡、後遺障害となったか判断が難しい場合は5割の減額となります。

■事故が原因で死亡または後遺障害となったか判断が難しい場合

  • 事故が原因で死亡または後遺障害となったか判断が難しい場合は支払保険金から5割減額がされる。

自賠責保険は被害者救済を目的とした保険ではあるものの、救済するのは過失のない被害者です。

そのため重大な過失がある場合や事故が原因でない損害については補償がされませんので、過失があるなど言われないように最新の注意を払って運転をしたいものですね。

  • 自賠責保険の支払い保険金は減額される場合がある
  • 被害者に重大な過失がある場合は過失割合に応じた減額がされる
  • 事故が原因で死亡したと判断が難しい場合、保険金は5割減額される


任意保険との補償の考え方の違い

  • 自賠責保険:過失割合が70%未満であれば補償金額の範囲で全額が支払われる
  • 任意保険 :発生した損失額のうち加害者の過失割合分の保険金額が支払われる

このように自賠責保険は被害者保護が目的となっているため、被害者の過失割合が70%未満であれば保険金は補償金額の範囲で全額が支払われます。

一方任意保険は、事故の加害者が自身の損害賠償リスクを避けるために加入するものですので、支払われる保険金は加害者の過失割合分のみになります。

仮に自賠責保険の補償金額を超えて1,000万円の損害賠償が発生した場合、事故の過失割合が50%だと加害者の任意保険から支払われる保険金は1,000万円の50%の500万円となります。

事故の過失割合が50%というのは、事故の半分は被害者にも責任があるケースということですので、加害者としては自身の責任分の金額を賠償するという考え方になります。ある意味当然ではありますね。

このような考え方を「過失相殺」といい、任意保険の保険金は過失相殺の考え方で、発生した損失額のうち加害者の過失割合分の保険金額が算出され支払われます。

自賠責保険とはかなり異なりますので、実際に事故にあった場合は少し混乱しますが、自賠責保険と任意保険ではそもそもの考え方に違いがあるという点は理解しておく必要がありますね。


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