任意保険と自賠責保険の損害賠償計算方法の違い

公開日:2015年10月30日

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自動車事故の損害賠償額は保険に加入している人であれば、自賠責保険と任意保険から支払われることになりますが、自賠責保険と任意保険では損害賠償額はそれぞれ計算が行われます。

損害額と過失割合から算出するという点は同じですが、損害額の算出方法、また過失相殺の考え方も異なりますので、本記事では自賠責保険と任意保険の損害賠償額の計算方法の違いについて紹介したいと思います。


自賠責保険の損害額・過失相殺の考え方

■自賠責保険の損害賠償額の考え方

  • 算出した損害額(自賠責保険基準)-過失割合に応じた減額

自賠責保険の損害賠償額は自賠責保険基準で算出した損害額から過失割合に応じた減額をすることで算出します。

損害額の基準には自賠責法に基づいた自賠責保険基準により決まります。

損害額を算出する基準は自賠責保険基準、任意保険基準、裁判基準の3種類がありますが、自賠責保険基準は3種類の中で最も低い金額となる水準です。

また任意保険は過失割合を掛け合わせて損害額を減額しますが、自賠責保険は被害者保護の観点から被害者の過失が大きい場合のみ減額がされ、減額の幅も任意保険に比べて少ないことが特徴です。

■自賠責保険の過失割合別の支払い保険金

過失割合 けがの場合 死亡・後遺障害の場合
70%未満 減額なし 減額なし
70%以上80%未満 20%減額 20%減額
80%以上90%未満 30%減額
90%以上100%未満 50%減額

自賠責保険は被害者救済が目的となっているので、被害者の事故の過失が大きい場合でも保険金が被害者に支払われるようになっています。

自賠責保険の補償範囲は被害者のけがの治療費などに使われる対人賠償ですので、治療費が用意できないと十分なけがの治療をすることができなくなります。そのようなことがないようにどんな事故の被害者の人にも一定の保険金が支払われるようになっているのですね。


任意保険の損害額・過失相殺の考え方

自賠責保険で支払うことのできない損害賠償金を任意保険で補償することになりますが、任意保険の損害賠償金額の計算式は以下の通りです。

■任意保険の損害賠償額の考え方

  • 算出した損害額(任意保険基準)×加害者の過失割合-自賠責保険の保険金額

任意保険の損害賠償額は計算された任意保険基準の損害額に過失割合をかけて、その金額から自賠責保険の支払額を引くことで算出します。

任意保険からは加害者の過失分しか支払われず、仮に被害者加害者の過失割合が双方50%ずつの事故であった場合、損害額の半額が加害者の任意保険から被害者へ支払われることになります。

過失割合は事故の状況と判例をもとに判断されますが、走行中の自動車同士の事故で一方が100%悪い事故はまずないので、被害者は損害額の一部は自分で負担をする必要があります。

なお、損害額の算出は任意保険基準という保険会社間で決められた損害額の基準を使用し、自賠責基準より若干高くなります。

任意保険基準で算出された損害額に過失割合をかけて加害者の賠償額を算出し、その金額から支払われる予定の自賠責保険の保険金を差し引いた金額が任意保険の保険金として支払われます。

任意保険が「発生した損害から自賠責保険で支払われた金額を引いた金額を補償する」という考え方とすると、先に過失割合をかけてから自賠責の保険金額を引くのは順番が逆で任意保険の保険金額を低くしてしまっているようにも思えますが、任意保険では上記の考え方が通例となっているようです。

  • 自賠責保険の損害賠償額は自賠責保険基準で算出した損害額から過失割合に応じた減額をすることで算出する
  • 任意保険の損害賠償額は任意保険基準で算出した損害額に加害者の過失割合をかけて、その金額から自賠責保険の支払額を差し引くことで算出する


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