動物との事故の場合の任意保険の扱いと飼い主に損害賠償できる場合

任意保険の対人賠償保険は「人」に損害を与えた場合の補償で、対物賠償保険は「もの」に損害を与えた場合の補償となります。

この時気になるのが動物との事故の場合です。飛び出してきた犬や猫などの動物を轢いてしまった場合、損害額はどの保険で補償されるのか気になる方もいるかと思います。

結論としては任意保険において動物は「もの」ですので、上記のケースの場合は対物賠償保険により損害額が支払われることになります。

また、動物とはいえ「もの」ですので、飼い主の方の精神的苦痛に対する慰謝料などは支払う必要はなく、ペットであれば市場価格相当額を支払うだけで良いです。

逆に飼い主側に賠償責任があるケースも

ただし、道路が目の前にあるのにペットを野放しにしていたなど、状況によっては飼い主の占有者責任が問われることがあります。

冒頭の事故のケースでこちら側がけがをしたり車両に修理が必要な損害が発生しているような場合は、逆にペットの飼い主へ損害賠償請求をできるケースがあります。

通常の交通事故と同じく飼い主と過失割合を決定し、過失相殺した上で損害賠償をすることになります。

このように動物との事故でも過失割合を争うことも考えられますので、事故時は相手が動物であったとしても警察に通報して実況見分などをしてもらうと後々トラブルとならずにすみます。

対物賠償保険で補償対象外となる場合

自動車保険では動物はものとして対物賠償保険の補償対象となりますが、対物賠償保険では補償対象外となる場合もあります。

一般的に、対物賠償保険で補償対象外となるのは以下のケースです。

■対物賠償保険で補償対象外となる場合

対物賠償保険は事故の「相手方」の損害を補償する保険なので、契約者や運転者およびその家族が所有するものの損害は補償しません。

契約者や運転者だけでなく、家族（父母、兄弟、子供）のものも補償の対象外となるので、仮に事故の相手が家族の飼っているペットであった場合は補償の対象外となりますね。

また台風、洪水、地震などの自然災害により発生した損害については補償がされません。

当たり前ではありますが、契約者が故意に起こした事故についても対物賠償保険の補償対象外となり、故意と思われる事故によって発生した損害については補償されることはありません。

最後に、対物賠償保険では補償の上限額が設定されていることがあります。補償上限を「無制限」とした場合は、損害額は無制限に補償されますが、補償上限額が設定されている場合は、一定額を上限として補償がされます。

そのため、補償上限が設定されている保険に加入している場合、補償上限額を上回る額の損害については補償の対象外となり、損害額を自己負担する必要があります。

これらは対物賠償保険に限らず、自動車保険全般のことでもありますので、補償の対象となる行為、ならない行為は契約時等にきちんと確認をしておくと、事故にあった時に「こんなはずではなかった」とならずにすみます。