逸失利益の算定基準見直しと自動車保険の保険料への影響
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交通事故時の損害賠償金額の基準が一部見直され、死亡事故にあった人の遺族は損害賠償を多く受け取ることができるかもしれません。
実際に交通死亡事故にあう人は少ないので、自分のことととらえる人は少ないかもしれません。
しかし保険金が増えると結果的に保険料が上がるかもしれず、困るのは加入者である私たちです。すべての加入者に影響があることですので、内容は知っておいて損はありませんので、算定基準の見直し内容や逸失利益を算出するしくみを見ていきましょう。
逸失利益の算定基準が見直し
- 交通死亡事故の損害賠償は逸失利益が支払われる
- 逸失利益は生涯収入を現在価値を割り引く
- 割引率が5%から3%に引き下げられる
交通死亡事故の遺族が受け取れることのできる損害賠償額は、死亡した人が生きていたら得ていたであろう収入を逸失利益として受け取ることができるものです。
この逸失利益は平均寿命まで生きていたら得た収入金額がベースとなりますが、逸失利益はこの生涯収入から運用してえられるはずの利息分を差し引くことになります。将来稼ぐ金額は現在価値に割引するという考え方ですね。
現行では割り引くときの利息は5%として計算されていますが、現在の日本の低金利と大きくかい離していると考えられており、5%から3%へ引き下げ、さらに1年に1回0.5%刻みで変更をする制度が検討されています。
割引をする割合が引き下げられることになりますので、結果的に生涯収入から差し引かれる金額が減るので、逸失利益は増えることになります。
逸失利益の算定基準が変わると損害賠償額がどう変わるか
- 2割程度損害賠償金額が増加する可能性がある
逸失利益の算定基準が変わるとどれくらい損害賠償金額に影響があるかというと、40代で年収500万円の人が死亡した場合、割引率を5%として計算すると逸失利益は約5,000万円ですが、3%で計算すると約6,000万円になり、2割程度も損害賠償金額が増額されることになります。
1,000万円ほど損害賠償金額が変わることになるので、保険会社の支払い保険金額総額に影響を及ぼす可能性も大きいです。
そうなると全体的に保険料が増額される可能性もありますので、被害者が受け取ることのできる損害賠償金額が増えるからと単純に良いことだとはいえません。
法務省では2015年の国会での法改正を検討しているため、すぐに変更というわけではありませんが、将来的に保険料が値上がりする可能性がある要素があるということは理解しておくと良いですね。
加入者の情報以外で保険料に影響があること
自動車保険は加入者の年齢や性別、免許証の色、車の使用目的など様々な項目から事故リスクを算定し、事故リスクに応じた保険料を負担するリスク細分型の保険が主流になっています。
そのため記名被保険者となる人の情報は保険料に大きな影響を与えるのですが、加入者の情報以外に保険料に影響があるのが、加入者全体の事故率や保険会社の経費などです。
保険会社は受け取った保険料から、万が一の事故が起きた時の保険金の支払いのほかに様々な経費を支払っています。
事故が多くあり、保険金の支払いが想定以上発生した場合は、翌年以降事故のリスクを多めに見積もり、保険料を多く取るようになります。また運営にかかる経費も営業努力で吸収できないくらい上がってしまうと、その分を保険料に反映させざるをえません。
例えば2014年に消費税が5%から8%に増加しましたが、自動車保険の保険料には消費税がかからないにも関わらず、実質的な保険料は値上げとなりました。これは消費税が上がったことにより損保会社の経費負担が増え、その増加分が保険料に転嫁されたからです。
関係ないと思ったことでも影響があるのはこのような事情があるからなのですね。
このように保険料は多くの要素によって決まりますので、これから保険料がどうなるかを知るには、自分の年齢や無事故実績だけでなく、世の中全体の交通事故の件数や経費の値上がりにも目を向けておく必要があります。
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