事故で顔に傷を負った場合の損害賠償と男女による違い

人身事故で顔に傷を負ってしまった場合、治療をしても手術のあとが残ってしまったりして治療費だけではすまないことがあります。その場合後遺障害としてさらに大きな損害賠償を請求できる場合があります。

また一般的に顔に傷がつくのをより気にするのは女性だと思いますが、損害賠償金額に男女による差はあるのでしょうか。

ここでは事故で顔に傷を負った場合の損害賠償と、その時の男女の差について見ていきたいと思います。

事故で顔に傷を負った場合の損害賠償と男女による違い

結論から言うと、顔に傷を負った場合の損害賠償金額に男女の差はありません。正確に言うと、以前はありましたが、現在では法律が改正されて男女による差はなくなりました。

顔に傷を負った場合に治療をしてもあとが残ってしまった場合、傷跡の見た目への影響などにより等級が分かれて、後遺障害として認定されています。

認定基準は程度の大きさによって3段階に分かれており、以下のようになっています。

後遺障害の等級は数字が小さいものほど重大な障害として認定されているものですので、顔に傷を負った場合最大で7級までの後遺障害として認定がされる可能性があります。

顔の傷の後遺障害認定は2011年に厚生労働省が障害等級を改正したことにより現在の形になっていますが、それまでは男女によって障害の等級に差があるものでした。

2010年までの旧障害等級では「外貌に著しい醜状を残すもの」と「外貌に醜状を残すもの」の2種類しかなく、それぞれ外貌に著しい醜状を残すものが男性9級、女性7級、外貌に醜状を残すものが男性14級、女性12級という後遺障害でした。

■2010年までの旧障害等級

同じ傷や障害を負ったのであれば男女の区別なく同じ障害として認められないとおかしいというのは今考えると当たり前ではありますが、見た目の影響が女性の方が大きいと考えられていた頃に作られた障害認定基準で、今でもそう考える人が多いことからこのような判決が出るまでこの障害認定基準については特に議論もなく変更がされないでいました。

それが、2010年にやけどによって顔、首、上半身に後遺障害を負った男性に対して女性よりも大幅に軽い障害認定がされていたものを、裁判所が認定を取り消し、国が控訴を断念したことで違憲判決が確定し男女平等の障害認定へと変更がされるようになりました。

女性の方が見た目の影響が大きいというのは一つの真実かもしれませんが、法律や障害認定がそのようなあやふやな価値基準で認定基準を作っていてはいけませんので、現在の障害認定基準の方が納得感がありますね。

顔に限らず、どのような傷や障害を受けた場合でも男女による差はなく、負った後遺障害に応じた障害認定や損害賠償金額を受け取ることができるということを覚えておきましょう。