自賠責保険で支払われた保険金に疑問や不服がある場合の対応
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自賠責保険の保険金が支払われても、保険金の内容に疑問があったり、金額に不満や納得がいかないこともあります。
保険会社とはいえ、事故があった場合に被害者である自分に保険金をしはらうのは、加害者が加入している自動車保険の保険会社で、保険会社は「加害者側」です。
そのためどうしても支払金額などは自分に有利なように計算してしまいがちですので、「保険会社だから間違いない」という考えは持たずに納得がいかない時には真摯に対応することが求められます。本記事ではそのような場合にどうしたらよいのか、対応について紹介します。
自賠責保険の保険金に納得がいかない場合
自賠責保険の保険金額に納得がいかなかったり、疑問点がある場合、以下の方法を取ることができます。
- 保険会社による情報提供
- 保険会社宛に異議申立
- 第三者機関へ紛争処理申請
- 国土交通大臣へ申出
まずは保険会社に情報提供を求め、それでも解決しない場合には「保険会社宛の異議申立」「第三者機関へ紛争処理申請」「国土交通大臣へ申出」と対応を進めていくことになります。
各手続きの内容について順番に見ていきましょう。
保険会社による情報提供
- 保険会社は請求時、保険金の支払時、保険金が支払われなかった時にそれぞれ一定の情報を書面で提供する義務がある
保険会社は保険金の支払いの際に以下の情報を請求者へ書面で交付することが義務付けられています。
■保険会社が情報提供をしないといけない時と内容
時期 | 内容 |
---|---|
請求時 | ・支払基準・保険金の支払手続きの概要・紛争処理制度の概要 |
保険金の支払時 | ・支払金額・後遺障害等級とその判断理由・重大な過失で減額される場合の減額割合と理由・異議申立の手続き |
保険金が支払われなかった場合 | ・保険金が支払われなかった理由 |
そのため疑問点などは上記の情報をもとに解決することになります。
また、保険会社は必要に応じて追加の情報も提供しなければいけないことになっているので不明点がある場合はまず保険会社の情報提供内容を確認しつつ、追加情報の請求をしましょう。
保険会社宛に異議申立
- 保険会社の情報や判断に納得できない場合、保険会社へ異議申し立てをすることができる
情報をもとに確認をしても保険金の支払額や後遺障害の等級などに納得がいかない場合は、保険会社宛に異議申立の手続きをとりましょう。
異議申立の申請がされると、申立内容に基づき保険会社で支払金額や後遺障害等級の妥当性を再考してもらえる可能性があります。具体的には損害保険料率算出機構の自賠責保険審査会で審査を受けます。
保険のプロである保険会社が計算した保険金額等に異議を申し立てるので、異議の根拠等ははっきりさせるようにしましょう。
第三者機関へ紛争処理申請
保険会社と保険金額に対する折り合いがつかない場合は、紛争となります。
紛争となった場合、保険金の支払いが遅れるので通常の裁判よりも迅速に対応が可能なよう、第三者機関へ紛争処理申請をすることができます。
紛争処理を行う第三者機関は自賠責保険・共済紛争処理機構といい、公正中立な機関として紛争処理にあたります。
なお、紛争処理申請にあたり特に費用は発生しません。
国土交通大臣へ申出
保険会社が自賠責保険の支払基準に違反している場合や、適正な情報提供手続きを行っていない場合は、国土交通大臣へ申し出をすることができます。
国土交通大臣への申し出は「自動車損害賠償保障法第16条の7(国土交通大臣に対する申出)」で定められています。
申出の対象となるのは以下のケースです。
- 保険金等の支払が支払基準に従っていないとき
- 情報提供事項について書面の交付を行なわないとき
- 追加情報提供について書面説明を求めたが、説明されないとき
国土交通大臣への申し出は、定めはないものの以下の参照様式があります。
参照様式
国土交通大臣は申し出が正しい場合、保険会社に対して適切な対応を取るように指導することになります。
自賠責保険の保険金の上限
自賠責保険の保険金はけがの場合最高120万円、死亡の場合最高3,000万円、後遺障害を負った場合は後遺症の等級により最高4,000万円が支払われます。
■自賠責保険の支払上限
- けが(障害):120万円
- 死亡 :3,000万円
- 後遺障害 :等級により最大4,000万円
けがの場合は治療費や看護費、交通費などの費用が保険金に含まれます。
被害者が死亡した場合や後遺障害を負った場合には慰謝料と、死亡、後遺障害を負ったことによって得ることが出来なかった金額である逸失利益が保険金として支払われます。
逸失利益は働いて得られる金額になりますので、若い人が被害者となるほど金額が大きくなります。
なお、自賠責保険は被害者保護のためにある保険ですので、被害者の過失割合が70%を下回る場合には減額されずに被害者の状態に合わせた保険金が満額支払われることになります。
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