事故の相手(加害者)が未成年だった場合の責任と少年法との関係

公開日:2015年10月28日

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人身事故を起こした時、自分が加害者となった場合は相手がどんな人であっても損害賠償を支払うことで解決するしかないですが、自分が被害者となった場合、加害者がどんな人物かによって損害賠償や自動車保険の扱いが変わってこちらの対応も変える必要もあります。

特に事故の加害者が未成年だった場合は損害賠償や加害者の責任はどのように変わるのか見ていきたいと思います。


人身事故を起こした未成年への損害賠償金額

  • 加害者が未成年でも損害賠償責任は大人と同じ
  • 未成年者の親権者に運行供用者責任を問うこともできる
  • 親権者が損害賠償金を支払うケースが多い

人身事故を起こされた相手が未成年であった場合も基本的には損害賠償金額は変わることはなく、未成年本人に請求することができます。

未成年だからと言って減額されることもありません。

ただし、未成年者が加害者となる場合、損害賠償金額を払えるだけの経済力がなく、結局支払われなかったり支払いが遅くなることが懸念されます。

このようなトラブルを防ぐために未成年者の親権者と示談交渉を行い、親権者に責任をもって損害賠償金額を支払ってもらうこともあります。

上述した通り、民法上は損害賠償責任は未成年者本人にありますが、親も同じ車を使っていたり同じ場所に停めている車がある場合などは親権者に「運行供用者責任」を発生して一緒に損害賠償責任を負うこともあります。

実際問題として上記に当てはまらずに親に損害賠償責任がないとしても、親権者が未成年者本人に代わって補償をするケースは多いので、示談交渉は加害者本人や保険会社だけでなく、加害者の家族も含めて交渉ができないかを確認することも示談交渉上における大きなポイントになります。


人身事故を起こした未成年の刑事的責任

未成年が人身事故を起こした場合、損害賠償については成人同様に責任が発生することになりますが、刑事責任については大人が事故を起こした場合と扱いが異なります。

少年が犯した犯罪行為は少年法がありますので、未成年が起こした人身事故についても少年法が適用されて、一般的には成人が起こした事故よりも軽い処罰が下ることになります。

少年法は家庭裁判所で裁判がされ、犯した犯罪の悪質性や重要性によって以下の4つの判断がされます。

  • 不処分:処分なし
  • 保護観察:保護観察所に指導、監督される
  • 少年院送致:少年院で指導、訓練される
  • 検察官への事件送致:成人と同じ刑事手続きがされる

重大な人身事故の場合は検察官送致(逆送)となり、成人同様の刑事手続きによる裁判が行われますが、かなり重大な違反を犯したり事故を起こしていないと逆送となることはまずありません。

死亡事故や80km以上の速度超過、またはその組み合わせなどによって起きた事故の場合には逆送となり刑事事件となります。ただし刑事手続きとなっても未成年が起こした事故は懲罰よりも更生が優先されるため成人よりも1段階軽い罪となります。

2012年に京都で居眠り運転をして150kmの速度で歩道に突っ込み、登校中の児童とその保護者3名を死亡させ、7名が重軽傷を負った事件では、事件の凄惨さと加害者が未成年でさらに無免許運転であったこともあり大きな話題を生んだニュースとなりました。

結局この少年への判決は懲役5年から8年の不定期刑となり、被害者の遺族はこの判決が軽すぎると控訴をしています。

判決が軽いか重いかは人の判断にもよりますが、個人的には無免許運転で3名を死亡させておきながら5年ちょっとで社会復帰できてしまうのは軽すぎると思います。ここまで重大な事件を起こした少年に対しては成人と同じ罰を与えてほしいという気持ちになります。

少年法については様々な議論がありますので、近いうちに改正される可能性もありますが、自動車事故においても適用されるものですので、万が一事故の相手が未成年だった場合は覚えておくと良いでしょう。


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